エルサレム旧市街 8つの門エッセイ(ライオン門・黄金門)
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教。世界三大宗教の聖地となっているエルサレム旧市街。旧市街は高い壁で囲まれており、周りの世界と隔離されています。一歩中に入ると、ホーリーランドという呼び名に相応しい、圧巻の世界が広がります。
エルサレム旧市街にはこの世界に踏み入れるための、「8つの門」が用意されています。 それぞれの門には由来があり、その中でも特に興味深くてドキドキ!するストーリーをご紹介します。
エルサレム旧市街、東側の唯一の入り口、ライオン門は、門に2頭のライオンが掘られています。このライオンが”エルサレム旧市街の城壁”が現在の姿になるきっかけになりました。 ある日、16世紀オスマン朝時代の王スレイマン1世の夢に、怒ったライオンが出てきました。その夢ではライオンがスレイマン1世を囲み、エルサレム旧市街の壁を更に強固に作るように命じました。スレイマン1世はこの夢がきっかけで、現在のようなエルサレム旧市街を囲む大きな城壁を作りました。エルサレムの都市と、エルサレムの民衆を守る城壁の設立を記念し、この門にはこの夢に出てきたライオンが掘られているのです。物々しいストーリーではありますが、実際に掘られたライオンを見てみると、小ぶりでとても可愛らしいです。
そして8つの門のうち、唯一の閉ざされた門、黄金門にも興味深いストーリーがあります。黄金門はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の信者にとって大変重要な門です。何故なら、この門は”救世主が通る門”と言われているからです。 今から2000年以上前、当時は開いていたこの門を通りエルサレムを訪れた、誰もが知る人物がいます。そう、かの有名なイエス・キリストです。彼は当時、この黄金門を通ってエルサレムを訪れました。救世主はロバに乗って現れる、という伝説の通り、イエスも敢えてロバに乗って入場したそうです。 黄金門はその後もしばらく開いていたようですが、乱世を憂いて500年前に閉ざされてしまいました。次に黄金門が開く時、救世主が現れ、本当の平和が訪れると言われています。私が生きている間に黄金門が開くのか、はたまた何百年後になるのか、ドキドキ!しながら待つとしましょう。
ドキドキfor you!
※ラジオエッセイ “ドキドキ!HOLY LAND STORY for you(遊)” より引用
Essay by 松井葉月 Hatsuki Matsuiby 松井葉月 / Hatsuki Matsui
ライオン門の場所
黄金門の場所